共立荻野病院コラム詳細
TOP > 共立荻野病院コラム一覧 > 動物風景-14 荻野彰久 荻野鐵人
  • 診療科目一覧
  • 内科
  • 胃腸科
  • リウマチ・膠原病科
  • アレルギー科
  • リハビリテーション科
  • 診療時間
  • 月〜金 午前9:00〜午後12:00
    午後3:00〜午後6:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • 月〜土 午前9:00〜午後4:00
    日曜・年末年始
  • 月〜金 午前9:00〜午後5:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • 院内のご案内
  • 医師紹介
  • 共立荻野病院デイケアセンターフラミンゴ
  • 住宅型有料老人ホーム プメハナ

2015年5月18日

動物風景-14 荻野彰久 荻野鐵人

「ワタシ、ほっとしたわ」スピッツ犬がぼくに言って、嬉しそうに笑ったので
「一晩、生き延びてみたって同じことだよ」と、ぼくも笑った。

風が死ぬと割れた雲の間から明るい月が顔を見せた。スピッツ嬢の方からは眼前に家の中が見え、ぼくの方からは向いの屋根を越えて広野が展(ひら)けていた。静かな月夜だった。

「コリーさん、コリーさん、アンタ、悲しくない?」突然スピッツ嬢の檻から、声がした。ぼくは答えず黙っていた。
「コリーさん、もうお休みになったの?」と、スピッツ嬢が、又言葉をかけた。
「うん、ぼくはもう寝たから、返事はできないね」
「何、言っているの、お返事出来るじゃないの、意地悪ネエ」と、スピッツ嬢は言って笑った。
「もう寝ろよ、今夜は雪も降って、冷えているから、いつまでも起きていると風邪を引くぞ」とぼくが起きずに云うと、鋭いが優しい声で、ははははとスピッツ嬢は笑い。
「風邪を引くなんて、何言っているの、わたしたちは夜が明けたら、殺されてしまうのよ、バカね」とスピッツ嬢。



共立荻野病院コラム一覧へ戻る