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2016年4月5日

akira's view 入山映ブログ オペラ旅行

 ヴェルディ協会というのは会員数百人の小さなNPOだが、その名の示すようにオペラ好きで耳の肥えた人はもとより、知識・経験も驚くほど豊富な方々が多いお集りだ。モーツアルト協会やバッハ協会と掛け持ちをしている会員も多く、その蘊蓄を傾けた会話は傍で聴いていても楽しい。ヒマを見てはヨーロッパの歌劇場巡りをしている人も一人や二人ではなく、男性会員の多くが元、あるいは現役のサラリーマンだというから、日本のサラリーマンは没個性のドブネズミ集団だと言うステレオタイプは払拭されてしかるべきだろう。

 そんなお仲間に駆け出しの筆者が加わって、ヴェルディ・フェスティバル(作曲家の誕生日を記念して生家の近くの都市パルマを中心に毎年行われる)のオペラを総なめにする、という企画に参加した。今年はパルマ歌劇場のシチリア島の夕べの祈り、ボローニャ歌劇場のイル・トロウ゛ァトーレ、それにブッセートのヴェルディ劇場でのアッチラの三公演。これがいづれも初日で、入り口では地元の著名人たちをテレビカメラが追っかける、華やかな幕開けだった。ツアーのオーガナイザーはヴェルディ協会創立メンバーの永竹先生。洒脱で時に下がかる絶妙のコメントはおそらく当代随一だろう。楽しい旅行だった。

 特筆すべきは劇場の規模だ。パルマが一番大きくて千五・六百人。ブッセートに至ってはなんと四百人がやっとという劇場である。そこにオケが入って、朗々たるベルカントが声を競う訳だから、もう文字通り音楽に包まれたという感じで、これは何物にも代え難い原体験だった。演出もいろいろ面白い試みが出来る。平土間の客席通路とオーケストラボックス前の通路を花道代わりに使って、出演者が歩きながら退場、歌いながら登場。舞台と客席後ろの二人が掛け合い、なんていうのをフルに活用したのがパルマのシチリア島だった。これは筆者の真横でバスがアリアを歌ってくれるという経験にありついた。

 このプロチダ役のジャコモ・パセティというバスがすこぶる付きの素晴らしさで、これがこちらと二重唱でもしているくらいの距離で響いてくるのだから、これは病み付きになりそうだ。全ての劇場が、例の馬蹄形で、五階から六階の桟敷席が平土間を取り巻いている。大劇場で聴くオペラとは全く違った音楽であり、楽しみ方だといってよいだろう。休憩時間も鷹揚なもので、劇場内のバールが込んでいると見るや、ふらりと表に出て向かいのカフェで一杯飲んでまた戻ってくる。もちろん初日のことでもあり、それなりにおめかしをした観客の面々ではあるのだが、この規模の劇場ではそれさえもアットホームな雰囲気になるところが面白い。なるほどオペラにはいろいろな楽しみ方があるものだ、と実感したことだった。

2010年 10月 24日



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