共立荻野病院コラム詳細
TOP > 共立荻野病院コラム一覧 > 高村光太郎先生の葉書(5) 大木 実
  • 診療科目一覧
  • 内科
  • 胃腸科
  • リウマチ・膠原病科
  • アレルギー科
  • リハビリテーション科
  • 診療時間
  • 月〜金 午前9:00〜午後12:00
    午後3:00〜午後6:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • 月〜土 午前9:00〜午後4:00
    日曜・年末年始
  • 月〜金 午前9:00〜午後5:00
    土・日・祝日・年末年始・夏季
    (3日間)
  • 院内のご案内
  • 医師紹介
  • 共立荻野病院デイケアセンターフラミンゴ
  • 住宅型有料老人ホーム プメハナ

2017年6月26日

高村光太郎先生の葉書(5) 大木 実

 ――私はよく顔をあわせる愁い顔の寂しい感じのする女に心をひかれた。やがてその女と言葉を交わすようになり、急速に気持が傾いて結婚した。そしてそれまで住んでいた真島荘から、根津の電車通りをひとつ越した本郷側のアパートへ引っ越した。そこが根津山荘である。そこは根津権現の境内つづきの高台にあった。近くに漱石が「猫」を書いた駒込千駄木町の旧宅がそっくりしていたし、すこしいくと鴎外の観潮楼があった。観潮楼から団子坂の通りを横切って北へすこしはいったところが駒込林町で、そこに高村先生のお宅があった。私は先生のお宅を知っていたが扉を叩くということはしなかった。なぜだったろうか。人見知りをしてひとと会うのをおっくうがる私の性分もあったが、おじゃましてはわるいという気持があって、通りに面したお宅の前を通るだけで満足していた。今になって思うことは、もうすこし遠慮をしないでお訪ねしておけばよかった、という後悔の念である。



共立荻野病院コラム一覧へ戻る