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2017年7月7日

名古屋口の由来(3)―続々鴬系図― 板倉靹音

 日露戦争のころのことである。知多郡の船頭だという男が名古屋へ鴬を売りにきた。ホ。ホ。ホ。ホケッ。キーヨと長く引くその下げの美しさ、とうてい丸止めの比ではない。初めて聞く妙音にみんな魅せられてしまったが、三十五円という値段をきいて誰も手が出なかった。
 翌年、この鳥が名古屋の鴬の会にふたたび姿をあらわした。調べてみると、岐阜の好事家数人が共同で飼っていたのであった。某妓楼の主人津坂という人がほしくなって、四十円で譲れと言ったが、四十円は買い値だ、四十五円でなければ売れぬと言い、話はまとまらなかった。岐阜側が篭(こ)桶(おけ)をかかえて二人引きの俥で枇杷島大橋のたもとまで来ると、おーい、待ってくれ、待ってくれ、と後から追っかけて来た。橋の上で待っていると、三人引きの俥に乗った津坂氏であった。四十五円出すから譲ってくれと言う。岐阜の方は気が強くなって、いや、もう売るのはやめたと言う。結局、五十円で買い取った。この鴬が評判になって、みんな争ってこの鳥にヒナを付けた。これが現在の名古屋口の起りである。
 それでは、知多の船頭はどこからこの鳥を手に入れたのか。二度とこの男を見かけた者もなく、知る由もない。



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