2018年8月9日
僕は生きられる 木下夕爾
僕は生きられるだろう
僕は生きる
白菜の肌を舐めまわす
朝のかまどの火のように
僕は生きられるだろう
僕は生きる
夜ふけの皿の煮凝(にこごり)のように
肉と骨から完全に分離されて
僕は生きられるだろう
僕は生きる
中途でよじれちぎれながら
物をつかんでいる
枯れた蔓草のように
僕は生きられるだろう
僕は生きる
ただひとりでも僕は生きる
枯草の中で僕をつまつかせる
石のような
自分の生を確かめて