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2018年9月27日

朔太郎の庭見物(6) 桑原武夫

 そんな話をすると、酒も入っていたのだが、萩原さんは大へん機嫌がよくなって、
 「室生はね。あれは偉いさ。偉いがね、それには無知の一徳というところがある。学問がない、これが室生のいいところで、またトクをしているところだ。学問などした人間は、ああいうふうには行かん。ぼくはね、室生がしょっちゅう京都の庭のことを話すだろう、書くだろう。それでね、実は、室生のバカにわかることが、ぼくにわからんはずはない。きっと面白いだろうと思ってね、それで見にきたのさ。だが、庭はぼくには絶対わからん。恐らくいいものでしょう。しかし、ぼくはわからん。室生をバカにしたが、やはり室生には、ぼくは庭ではかなわない。もう庭は一切見ない。庭のことはやめる。」
 とむしろ楽しげに語った。犀星がいかに無学であるか、芥川龍之介にどのようにからかわれたか、といったことを、いろいろとしゃべったが、室生にたいする深い友情が感じられた。



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