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2019年11月12日

砂漠(5) アルベール・カミユ 柏倉康夫訳

 無感心と無感覚のおかげで、一つの顔が一つの風景の無機質の偉大さに合致することがある。スペインの一部の農民が、彼らの土地のオリーヴの木に似てくることがあるように、ジオットが描く顔は、魂が現れるちょっとした陰影を取り去られて、ついにはトスカナそれ自体へと戻っていく。このことの教訓とは、情緒を犠牲にした情熱の履行、禁欲と享楽の混合、大地と人間への共通の反響であり、人間はそれによって、大地と同様に、悲惨と愛の途中で自らを定義する。そこには心が安堵するような真実などない。そしてわたしは、次のことが確かなのを知っている。それはある夕暮だったが、そのとき影が、沈黙の大きな悲しみが、フィレンツェの原野のブドーやオリーヴの木々を浸しはじめていた。だがこの地方の悲しみは、美についてのコメント以上のものではない。わたしは、夕暮をぬって走る汽車のなかで、自分のなかで何かがほぐれるのを感じた。いま、あのときの悲しみの顔を思い浮かべてみて、それが幸福と呼ばれるのを、わたしは疑うことができない。



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